有機フッ素化合物のうち、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物を総称して「PFAS」と呼び、1万種類以上の物質があるとされています。
PFASの中でもPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)は幅広い用途で使用されてきました。これらの物質は難分解性、高蓄積性、長距離移動性という性質があるため、国内で規制やリスク管理に関する取り組みが進められています。
また環境中で分解されにくいため「永遠の化学物質」とも呼ばれ、有毒性や高い蓄積性があることから、国内外において製造、使用等が規制されています。
さらにペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)においても、2022年6月にストックホルム条約会議で同様の措置となりました。
PFASの主な発生原因としては、工場排水や泡消火薬剤、廃棄物処分場からの地下水汚染などが考えら
れます。
また人体への影響については完全に解明されていないこともありますが、発がん性や免疫機能の低下、ホルモンバランスへの悪影響などが指摘されています。特にPFOAの発がん性に関しては、世界保健機関(WHO)傘下の国際がん研究機関(IARC)が、2023年12月に「ヒトに対して発がん性がある」と評価しています。
厚生労働省は2020年4月1日PFOS及びPFOAについて、水道法の要検討項目から水質管理目標設定項目へ変更し、暫定目標値を0.00005mg/L(PFOS及びPFOAの量の和)に定めました。
さらに環境省は2020年5月28日、PFOS及びPFOAを人の健康の保護に関する要監視項目に位置づけ、公共用水域及び地下水における暫定目標値(暫定指針値)を0.00005mg/L (PFOS及びPFOAの合計値)に定めました。
また、2024年5月から9月にかけて行われた「水道におけるPFOS及びPFOAに関する調査」について、環境省と国土交通省から結果が公表されております。下記リンクからご確認ください。
https://www.env.go.jp/press/press_04194.html
PFHxSについては、厚生労働省が2021年4月に水道法の要検討項目に追加し、環境省は2021年3月に水質汚濁に係る環境基準の人の健康に係る項目について、要調査項目に位置づけております。
今後の対応として、環境省は2025年2月にPFOS及びPFOAを水道法上の水質基準に引き上げる報告書案をまとめました。水質基準項目へ格上げとなれば、水道事業者には定期的な検査と基準超過時の改善が義務付けられることになります。2026年度から施行予定です。
これを受けて消費者庁は、ミネラルウォーターについても食品衛生法に基づき水道水と同様の基準を定め、PFOS及びPFOAの検査を義務付ける方針を示しました。
当センターでは、飲料水及び環境水(公共用水や地下水)のPFOS、PFOAおよびPFHxSを同時分析する検査を承っております。
また今後は、上述のミネラルウォーターに対する動きを受けて、検査義務化の対象が拡大していく可能性が大いに考えられます。少なくとも、消費者や取引先からの需要の高まりが予想されます。様々な食品工場や飲料メーカー、酒蔵などにも使用される食品製造用水(井戸水)については、まだ検査義務化の方針は示されていませんが、義務化の前に検査を実施することで他社との差別化を図り、「安心・安全」という付加価値の向上に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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